小説を書くときの禁則事項など

私は小説の書き方を教えるほど偉くないですが、禁則事項程度なら理解しているつもりです。案外、知らない人が多いようなので、自分なりにまとめておきます。

はじめに

小説を書くにあたっての禁則事項について、ちょこちょこと書かれた記事は見かけますが、体系的かつ例題豊富にまとめたものとなると、なかなか厳しいと思います。そこで、様々ある記事を総括するつもりで書いていきたいと思います。

ここで記すのは、あくまで一般の小説に用いられている記法であり、他の場面(新聞や法律などを定めた資料)で用いられるものとは別であることを明記しておきます。

では、どうかお付き合い願います。

名称の統一

一般的に呼ばれる記号への呼称をまとめておきます。「こう決まっている」というものはない模様で、一般的だろうと思われる呼称について記します。

記号 呼称
() 丸括弧
「」 鉤括弧
…… 三点リーダ
—— ダッシュ
句点
読点
感嘆符
疑問符

以下では、鉤括弧と丸括弧を併せて「括弧」と表現します。

更に、「特殊記号」は、感嘆符と疑問符を併せて表現しています。

一般的な作法

これは最低限守っておくものです。書かれているストーリや内容以前の問題で、これらを解決しない限り、目を通すことすらされない可能性があります。

文頭には全角の空白を入れる

わかりやすさのため、全角の空白を□で表現します。半角の空白は許されません。

悪い例
  • 文頭には全角の空白を入れます。
  • □「ただし、文頭に括弧が来る場合は、空白を入れてはいけません」
  • □もちろんのことながら、文が終了しない間に改行が入る場合、空白を入
    □れてはいけません。
良い例
  • □良い例とは言っても、悪い例の真逆をすればいいのです。
  • 「括弧が文頭に来る場合は必要ありません」
  • ——後述するダッシュなどの記号も、括弧と同じく空白を必要としません。

三点リーダ/ダッシュは必ず偶数倍個で表現する

最も目に付く、不恰好な表現だといって差し支えないでしょう。この点に気をつけるだけで、大分文章がマシになります。

三点リーダとダッシュは共通して言えることが多いので、一緒に記します。

悪い例
  • —偶数倍個で表現する必要があります。
  • −−良く見たらダッシュではなく、マイナス。
  • –ハイフンも間違い。
  • ———偶数倍個でない。
  • 三点リーダは・・・三つの点が全角一文字で表現されたものを使用する。
  • 更に…これも偶数倍個使用する必要がある。
  • ・・・・・・半角カタカナの点を使用している。ドラッグした際に、三つの点が一度にハイライトされるものを使用しなければならない。
良い例
  • ——偶数倍個使用している。
  • ————私は余り好きではないですが、こういうのも一応ありなはずです。
  • 三点リーダは、変換によって様々な候補が現れるので……適切なものを選択する必要があります。
  • 同じく…………長い沈黙などを表現したいときは、適宜偶数倍個の三点リーダを用います。表現として美しくはありませんが。
補足

三点リーダなどを多用する人は、IMEなどに辞書登録しておけば便利だと思います。私は、「・・・」→「……」としています。

三点リーダとダッシュは、文字コードの関係上、紛らわしいものがたくさんあります。間違わないようにしましょう。三点リーダとして正しいものは「……」であり、ダッシュは「——」となることだけは覚えておきます。

ダッシュは元々、補足説明のような意味で使われることが主でしたが、今では一瞬の間を表現したり、声にならない叫びを表現したりと、使用される場面が広がってきました。そのため、詳細な仕様などがまだ固められていないと思われます。常識の範囲内であれば、どう使っても大丈夫でしょう。

句読点の打ち方

打つ場面と、そうでない場面があるので、見極める必要があります。判断することは、そこまで難しいことではありません。

悪い例
  • 「括弧の文末には付けません。」
  • 常識ですが、文末に句点を付けましょう
  • 余りに読点がない文章は読みにくくもありますし誤解を招く原因ともなります。
  • 「彼は嬉しそうに飯に喰らいついている子供を見ている」というように、場合によってはどちらとも取れる表現も出てきます。
良い例
  • 「括弧の文末には付けません」
  • 常識ですが、文末に句点を付けましょう。
  • 余りに読点がない文章は、読みにくくもありますし、誤解を招く原因ともなります。
  • 彼は、嬉しそうに飯に喰らいついている子供を見ている。
  • 彼は嬉しそうに、飯に喰らいついている子供を見ている。
どちらでも良い例
  • 三点リーダなどと併用する場合、個人の裁量の範囲内である……。
  • あっても良いし、無くても良い……
  • 丸括弧と併用する場合、非常に色々な場合が考えられる。(文章の補足をする場合。)
  • 一見変ですが、このような書き方は法律の文章などに見られるそうです(実際はよくわかりません。)。
  • 丸括弧(鉤括弧)などと、他の言い回しや単語を紹介する場合は、丸括弧内のみで文として成り立っていないので、必要ないとされる。
  • 最後に丸括弧が来る場合は、人それぞれである(どちらでもよいらしい)。

丸括弧で文章が終了した場合、句点はあってもなくてもよいです。上記は全体的に、個人の裁量に任されている面が大きいですが、少なくても自分の小説の中では統一させるべきです。

ただ、読点とは文の終わりに付けるものなので、そこをきちんと理解したうえで判断されると良いでしょう。

丸括弧

丸括弧の使用法について、二つほど挙げられるのではないでしょうか。

  1. 補足説明。
  2. 心の声の表現。

1の場合は文中に登場し、たまたま文章の最後に来た場合は”)。”としています。2は、鉤括弧とほぼ同じ扱いとし、段落を変えたうえで書き始めます。これは、私の中で統一している記法なので、参考程度にしてください。

特殊記号

特殊記号の後には、必ず全角空白を入れます

悪い例
  • 本当に全角空白を入れて良いのか?と、私は思いました。
  • 「括弧の文末に特殊記号が来る場合は、全角空白を入れません! 」
良い例
  • 必ず全角空白を入れましょう! 入れてない人はかなり多いです。
  • 「括弧の文末ではいれません!」
補足

最近では、「!?」と表記することで、驚きと疑問の双方を同時に表現することがあります。新しい表現方法なので、明確な規定が浸透していません。しかし、日本語の文章を書くわけですから、半角というのは通常考えられません。そのため、全角で「!?」と表現するのが、割と一般的ではないかと思います。

追記(2010/09/16):一般的なワードソフトでは、「縦中横」という手法で表現されることが多いようです。これは、複数の半角記号を組み合わせて色々出来るらしいですが、環境によって異なるようなので良くわかりません。自分の環境においての対応策を、調べてみてください。

「ー」「〜」という記号をやたら使いたがる人は居ますが、場合によっては見苦しくなることを忘れないでください。これらの特殊記号は、本来日本語に存在しないものです。

意図的でない視点の混同は避ける

物語は基本的に、「一人称視点」か「三人称視点」で書く必要があります。

一人称視点というのは、主人公の心理描写を主としたものになると考えられます。あらゆる場面において主人公が知りえることのみを記述します。例えば、他人の心の声を記述するのは、本来主人公が知りえることのできない情報なためナンセンスとなります。しかし、主人公の推測という形で表現することは可能です。

一方、三人称視点とは一般的に「神視点」とも呼ばれます。事実を淡々と書き連ねていくわけです。様々な立場から見た状況を説明できるので、通常こちらのほうが書きやすいかと思います。

これらを混同した文章を書くと、読み手から見て、非常に気持ちの悪い文章となるはずです。上手く組み合わせて物語を作っていく手法もありそうな気はするので、意図的で無い限りはやらないほうがよいと表現しました。

一人称視点例

他人から鈍感だと言われる私でさえ気づくほど、花子は怒っているようだ。そのため、丁寧に話しかけることにした。

三人称視点

太郎は怒っているらしい花子に向かって、丁寧に話しかけた。

一人称や発言の言葉尻は統一する

基本中の基本ですが、「僕」「私」「ボク」などは統一します。普段は「僕」と言い、激怒したときなどは「俺」と言う、などの意図的な使い分けは大丈夫です。

今まで敬語で喋っていたキャラがタメ口で喋りだすのは大変な違和感がありますし、文章のみで発言者を特定するしかない小説の世界では、発言者を誤解することもありえます。そのため、口調の統一は大変重要です。普段の生活で余り見かけない「〜わ」という女言葉が小説の中では未だに使われ続けているのも、発言者をわかりやすくするためではないでしょうか。

おわりに

色々偉そうに書きましたが、結局はネタ、文章力、センスと根気が重要だったりします。

小説を書くときの禁則事項など」への4件のフィードバック

  1. ふでん

    「!?」や「!!」といったものは縦書きに於いて縦中横と呼ばれる手法で表記する場合、一般文芸書を含むすべての出版物に於いて特に認められていないというものではないです。二桁アラビア数字(特に時間)を表記する場合にも用いられることは多々あります。これは「時間は十五時十五分」と表記するよりも「時計は15:15」(セミコロンは全角のため直接表記)と表記する方が描写がリアルに伝わるためです。
    それから三人称小説がすべて俗に言う「神視点」というわけではないです。これは三人称の中でも特に自由間接話法を全く用いないものにだけ言えることです。そして自由間接話法を用いない三人称小説というのは、(日本では)むしろ少ない方だと思います。

  2. baw 投稿作成者

    こんにちは。

    ご指摘の件ですが、縦中横は恥ずかしい話、初めて知りました。
    ワードソフトは普段使わず、専らテキストエディタなうえ、「!?」などという記号を使用しないため、全く知りませんでした。この度、そういった種の記号を多く用いる某ライトノベルを目にする機会があったのですが、確かに縦中横を用いて表現されていることを確認しました。最近のライトノベルではありがちな表現なようなので、記事の内容を正確に書き改めておきます。

    ありがとうございました。

  3. ジンクス

     こんにちは。通りすがりのラノベ大好きな日本人です。
     確かに、三点リーダを奇数で使われるのは、僕もあまり好きではありません。前にそのルールを知ってから、必要以上に敏感になっているというのもありますけどね。しかし、誰でも書けるネット小説ならいざ知らず、発売されている書籍の中でそれを見つけた時は、思わず何度も見返してしまいました。あまり気にしすぎることもどうかと思いますが、やはり駄目ですね。

  4. なぞりん

    縦書きの文章で、感嘆符【!】が、全角で1個づつ2個縦に並んで入っている文を見た時、とても異様に思えました。
    なぜなら、感嘆符を2個並べる場合、【!!】と打つのが普通だと思っていたからです。
    これも、特に決まりは無いのでしょうか?

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